ニッケルハルパについて

2021年6月26日

ニッケルハルパについて

IMG_0553

ニッケルハルパ――
 
きっと初めて聞いた方がほとんどではないでしょうか。
 
Nyckelharpa

Nykelが鍵盤、harpaが弦楽器をそれぞれ表します。

鍵盤付き弦楽器、見た目そのままが名前です。


ニッケルハルパはストックホルムの少し北、スウェーデンのウプサラ(昔の呼び名ではウップランド)地方に伝わる伝統楽器。
 
1350年頃の教会のレリーフにニッケルハルパのような楽器を持った天使が描かれているのが最古の記録とされていますが、ニッケルハルパ自体が一度廃れてしまったこともありその程は定かではありません。
 
1960年頃に起こった再興運動により現在ではスウェーデンのみならず、イタリア、フランス、ドイツ、アメリカ、そして日本などで多くの奏者がニッケルハルパを演奏しています。
ニッケルハルパの特徴は大きく二つ――
一つは鍵盤(キー)を押さえて音程を取る、ということ。
バイオリンのように弓で弦をこすって音を出す擦弦楽器(さつげんがっき)でありながら、音程を左手で微調整する必要がありません。どこにどの音があるかさえ覚えてしまえばあっという間に弾けるようになります。
そしてもう一つは12本の共鳴弦を持っているということ。
弦は全部で16本張られていますが、そのうち12本は弓の触れることのない弦――共鳴弦と呼ばれる弦になります。
演奏されたメロディ弦の音に対応する共鳴弦が共振してくれることで、ニッケルハルパ特有の残響感が生まれます。
12本はソから半音ずつ並びファ#まで、平均律で1オクターブに含まれる全ての半音を網羅しています。何の音を鳴らしてもどれかしらの弦は共鳴していることになり、鍵盤によってビブラートなどの奏法が使えないにも関わらず豊かな残響、余韻を楽しむことができます。
 
 
構造はこんな感じです。
当然のようにフリー素材は無かったため手描きしました。
鍵盤の白黒はピアノの白鍵と黒鍵に対応しています。
演奏する弦のうち、左端の1本には鍵盤がついていません。
これはドローン弦と呼ばれ、同じ音を出し続けるためのものです。
かつてのニッケルハルパではドローン弦が中央に配置され演奏中常になる構造になっていましたが、今では端に配置されて使用頻度は減ったものの、ドローン弦として形
を残しています。
スウェーデン以外の奏者は4列目に鍵盤をつける人もいます。

メロディ弦の音域はヴァイオリンの最低音のGから3オクターブです。

少し前の時代に好まれたニッケルハルパ。中央のドローン弦を挟むように配置されたメロディ弦には一列の鍵盤と2つのタンジェントがついている。
ニッケルハルパは民族楽器であり工芸品ですので、基本的には職人による手作りです。
そのためスウェーデン国外では滅多に出回っておらず、
英語が通じたとしてもスウェーデンの通貨は「スウェーデン・クローネ」……
日本に住んでいてニッケルハルパを手に入れようとするといくらかの障壁のある楽器であることもまた事実です。

レソノサウンドではスウェーデンから買い付けてきたニッケルハルパを日本円でお求めいただける他、ニッケルハルパ教室も開催しています。
値段については弓・ケース含めざっくり50万円台とご案内しておりますが、値段よりは個性で決めていただきたいので弾き比べていただくことをおすすめしております。

製作した職人によって音も見た目も違った表情を見せるニッケルハルパたちをぜひ当店でご覧になって弾き比べて、じっくり選んでください。

素敵な楽器に巡り会えますように。

2019.7.14 レソノサウンド

ソロから合奏まで揃ってます!
実はバリエーションに富んでいるのです。
店員の自由研究。随時更新頑張ってます!
北欧伝統音楽でよく見かける用語を掲載。

Posted by resono-sound